住まいづくりコラム

プレカットと手刻み

こんにちは森田です。

今日は住宅の構造材のについてお話します。

木造建築においてプレカットとは、構造材や羽柄材(構造材を補うための材料や下地材)「あらかじめ切断しておく」ことを意味します。

日伸建設の大工さんは作業場がありますが、従来木造住宅の建築では、建築現場に作業スペースを設け、そこで木材を加工していました。

現場に届く木材は、規格化された製材品で、実際の建物の各部位の寸法にあうように材を切断しホゾなどの仕口加工をするのは、現場の大工がやる作業でした。

自社作業場で加工する日伸建設の大工さん

一方、プレカットなら、製材された木材はプレカット工場で機械加工されます。

木造住宅の平面図や立面図等を基に加工データをCAD入力し、その情報をCAM(コンピューター支援製造)に転送して自動的に切削。

プレカット工場の様子

加工機

加工期での仕口加工

建設現場には、予め必要な長さにカットされ、継ぎ手、仕口の加工まで加工された材料が現場に届き、大工が現場で実際に加工する事は少ないのです。

①プレカット材を現場で組み立てるだけで良いので、まず大幅な工期が短縮される。

②資材置き場や作業スペース等、現場の加工スペースが大幅に縮小される。

③大工の技量によらない均質な加工が期待できる(大工の技量によってのリスクが軽減)

などのメリットが得られるので、現在の木造住宅建築においてプレカットは幅広く用いられている。

現場に納入されたプレカット材

プレカットの普及は工作機械技術の全自動化が進み、大工職人の減少等を背景に1990年ごろより急速に普及しました。

今では木造軸組住宅、大都市部でのプレカット率は90%を超えると言われ主流となっています。

また、プレカット工場で構造用木材だけでなく内装材や防火タイルなどの外壁材なども加工するようになってきており、工場への依存の省施工化が進んでおり、従来の大工による加工技術の継承が危ぶまれています。

以前コラムで鑿(ノミ)や鉋(カンナ)が不要な時代になったと書きましたが、このようなプレカットの普及、省施工化が理由なのです。

課題としては、建築物の設計について責任を負うべき立場の工務店が、構造のチェックや安全性の検討等も含めプレカット工場任せになってしまい、設計上の責任分担があいまいになっている部分もあります。

日伸建設でもお客様の条件によってプレカットで建てる事もありますが、複雑な仕口や加工は機械にはできないので、コストは掛っても墨付け、鑿や鉋を使い手刻みで建てる拘りの家をお勧めしています。

先に書きましたプレカットのメリットにあった、“大工の技量によらない均質な加工が期待できる”という部分は「性悪説」です。

技量の無い大工さんの加工ならば、プレカットの方が美しく仕上がりますが、匠の技と言われるような熟練の大工仕事は機械には出来ません。

時代には逆行する部分はありますが、日伸建設は古来から受け継いだ大工技術を継承し、この国本来の家づくりをしている工務店です。

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