自然の木は人間が作り出すことなんて到底できない物凄い力を持っています。
その力を最大限に生かすことが大工の棟梁の最大の仕事です。
それには、それぞれ違った性質を持っている様々な木を、家の一部となってからも、その特徴が生きるように加工する技術が必要となります。
また、自然の木というものは、種類が同じであっても、一本たりとも全く同じであるものは存在しません。
一本一本の木の状態を見て、それを判断する目と、家の材料として柱なら柱、床なら床へ最適な状態へと加工する腕が必要なのです。
本来の大工の仕事のほとんどは手作業で行うのですが、それを手刻みといいます。
手刻みで材料を作れば、木の癖や曲がりなどの状態によって調整することができ、複雑で強固な木組みをつくれますので、頑丈な家を建てることができます。
また、自然の木は柱や梁へと形を変えてしまった後でも、湿気を吸ったり放出したりすることで、反ってきたり縮んだりと時を経るごとに変化していきます。
それも計算に入れてベストな状態になるように加工しているのです。
まさに木と対話しながら、一つひとつの材料に家を建てるための役割を与えていく訳です。
戦後の高度成長期においてはあらゆるものが合理化され、手刻みで家を建てる大工は、ほんの僅かばかりになってしまいました。
手刻みするには時間と技術が必要なため、できるだけ安い家を大量に建てようと思えば割に合わないのです。
日本の新築住宅の主流は、プレカットといって工場で全て精密に加工された材料を現場で組み立てるだけになりました。
プレカットにすれば、誰が建てても同じですので、大工の技術は必要なくなり、また、時が経っても狂いが生じないように接着剤でガチガチに固めてしまうことで、木が本来持っている特徴を生かしきれていません。
その結果、シックハウス症候群という健康被害が生まれたのです。
大工の技術と木の特徴を排除した結果が健康被害であった訳です。
そうやって変化してきた日本の住宅の平均寿命は30年ばかりとなってしまいました。
『マイホームは一生に一度の夢』と言いますが、裏を返せば、親が建ててもその子がまた違う家を建て、日本の家は建てては壊す使い捨ての家になってしまったということです。
衣食住の要であり人が生きる上で最も重要なはずの住まいが、こんなことでいいのでしょうか?
本当に日本人はそのような住まいを求めているのでしょうか?
親から子へ受け継ぎ、時代によって手直しが必要なところには手を入れ、安心して永く住める家を建てたいという方が多いのではないでしょうか?
それには木の性質を最大限に生かし、大工が長年培ってきた知識と知恵が必要です。
寺社仏閣を代表とする昔の住まいがそうであったように、そうやって建てたられた家は100年でも200年でも十分住むことができ、立派に存在し続けます。
日伸建設では、そのような家づくりを誇りを持ってお施主様のために行っていきたいと考えています。
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