新築しようと決断したのは何だったのでしょうか?
奥様> 家のことをきっかけにして、今後どうやって生きていくのかを夫婦で話し合う機会が増えたんです。
老後の過ごし方から資金のこと、仕事のこと、また、実家の鹿児島に戻るのか・・・、二人の息子のどちらかが帰ってきて一緒に住むのか・・・?と色んなことを話し合ったんです。
そういったことに一つひとつ結論を出していくうちに、二人してこの奈良で、自然の木に囲まれて老後を過ごすという未来が見えてくるようになってきました。
ご主人> 人生80年だとすれば、残りあと20年程ですが、棟梁の家は100年だって残ってる。
海外旅行に行ったり、温泉に行ったりという老後の過ごし方もありますが、そのお金で自然の木に囲まれた健康で穏やかな暮らしが出来るなら、そっちの方がいいのかなぁなんて思えてきて。
そう考えると益々間取りを考えるのが楽しくなってきて、何枚も何枚もつくりました。
もともと平屋という考えもあったんですが、なぜか家というと2階建てという固定観念があるのか、どうしても2階に部屋をつくってしまうんです。
それを見た妻から、「この2階の部屋は何のためにあるの?」なんて言われて、喧嘩することもよくありました(笑)。
でも、二人だけで住むことを決めたので、息子たちがたまに来た時に泊まれる部屋があればいいということで、平屋にしてゆったりと過ごせる空間にすることにしました。
奥様> 主人が何枚もつくった間取り図を棟梁に見せて、こちらの要望を伝えたんですが、ここに部屋はつくれないとか、この配置は悪いとか、よくダメ出しされました。
でも、家づくりを間近で見てきて、その意味がよ~く分かりましたね。あの時の一つひとつが今では納得です。
山に伐採しに行くのに一緒に連れて行ってもらったり、作業場で加工しているところを見せてもらったりしながら、色んなことを教えてもらって、棟梁に教育されていきました(笑)。
木材というのは、まっ平ですべすべしているものと思っていたんですが、作業場にある木は曲がっていたり、ごつごつしていたり、本当に見るもの全てが未知の世界でした。
基礎が雨で濡れているのが気になった時も、棟梁から心配ないこと、そして、じっくりと時間をかけて待つことも、丈夫な家を建てるために必要であることを教えてもらいました。
ご主人> これまで家を建てる過程にそれほど興味をもったこともなく、見るものではないと思っていましたが、この家を建てるにあたっては、棟梁に教えてもらいながら、ずっと見てきましたので、壁の中やこの床の下がどうなっているのか全部知っています。
完成するのが本当に待ち遠しくて、ずっと間近でじっくり観察してきましたからね。
奥様> あと、棟上式の時は本当に感動しました。
自分達の家が出来上がっていくのを目の当たりにしたこともそうですが、赤ちゃんの頃から知っている敦也くんがカーン、カーンと高い所に登って家の骨格を組んでいく姿を見て、立派になったなぁと(しみじみ)。
田中敦也(大工)> ・・・(照)
小西棟梁(現会長)> そうやって、家づくりを楽しんでもらえるのが何より最高ですね。
そういう感想を聞いただけで、やった甲斐があります。
実際に住んでみてどうですか?
奥様> やっぱり木の香りがすごくいいです。私たちはもう慣れてきましたけど、お客様が来られた時には、皆さん言われますね。「いい香り!」って。
あと、一緒に食事をしていると、「カフェみたい!」とか、「なんだか落ち着くぅ~」と言ってもらえます。
ご主人> 職人の皆さんが丹精込めて気持ちを入れて建ててくれたのを知っているんで、この家のいたる所に思い入れがありますし、丁寧に使っていきたいと思っています。
あと、寝室に使ってもらった「奇跡の杉」も気に入っています。よく眠れる気がしますね。
小西棟梁(現会長)> そうやって喜んでもらうと、またそういった素材を探してくるのが楽しみになる。
家を建てさせてもらったお施主様への恩返しのようなもんです。
奥様> 奇跡の杉もそうですが、トイレには楠の木を使ってもらっていて、消臭効果があるので、芳香剤を置く必要がなくて、本当に適材適所という意味がよく分かります。
それと、夜になるとあの上の窓からお月さんが見えるんです。時間がたつと移動していったのが分かって、自然と一体になった気がして本当に心地良いです。
家の中からは外の気配を感じられるし、外からは明かりの中にこの梁が見えて、あったかさが伝わってくるとよく言われます。
お気に入りの場所を教えてください。
ご主人> コーラスをしてるんですが、ここで練習するとよく響くのでいつもより上手に聞こえるんです。だから、前の家の時よりもよく練習するようになりましたね(笑)。
あと、“あの梁はどういう役割なのか、あそこに存在する意味は何なのか・・・”なんてことを考えながら眺めるのも楽しいです。
細かいところを見ても、手を抜いた形跡がない。私は電化製品の設計の仕事をしてきたんですが、決まったものを決まったところにはめ込む工業製品と違って、一つひとつ違ったものを組み合わせる技術もスゴいし、電化製品はせいぜい数年しか持ちませんが、この家は数十年と生き続けることを考えると、やはりよく出来ているなぁと感心します。
奥様> やっぱり私はキッチンですね。あそこに立つと家の中の様子が一望できて、とっても心地良いんです。
キッチンの上に棚がほしかった、というか、棚があるもんだと思っていたんですが、棟梁に言われてとりました。そのおかげで家の中が見渡すことができ、視野が広がって快適な空間になったんです。
おかげで前の家にいる時よりも家事が好きになりました。
やっぱり棟梁の提案通りにして良かったですね。
ご主人> ひとつだけ気になっているんですが、あの上にある窓はどうやって掃除すればいいんでしょうね?
奥様> 敦也くんがいるから大丈夫でしょ!?(笑)
ご主人> とにかく、60歳にして家を建てるなんて考えてもいませんでしたし、誰に言っても「今から?」と言われましたが、今ではこの判断は間違っていなかったと確信しています。
良い家を建てていただいて心から感謝しています。
棟梁> やっぱり、こうして出会わさせてもらったのもご縁ですし、ある程度こちらにお任せいただけたのと、こちらとしてもこのお施主様の為に良い家を建てたいという気持ちがうまく重なって、良い関係が築けたのが良かったと思います。そういう波長も大事ですからね。
若い大工にとっては成長の場でもあるので、そういった機会を与えてくれたお施主様に恩返しする気持ちで仕事させてもらいました。
こちらこそ本当に感謝、感謝です。ありがとうございました。
まずは、日伸建設との出会いを教えてください。
奥様> はじめはこの家を新築する気は全くなかったんです。
ここは私の実家なんですが、母が亡くなってから空き家になっていましたので、リフォームをして住むとしたら、いくら位かかるのかなぁと思って、息子の幼なじみの田中敦也くんが大工をしていると聞いていたので、軽い気持ちで聞いてみたんです。
ご主人> そしたら、敦也くんと一緒に棟梁がついてきまして。。。(笑)
家を詳しく見てもらったところ、老朽化が激しくお金をかけてリフォームをしても数年たてば、いろんなところが傷んできてメンテナンス費用がかかってくるので、おススメは出来ないと言われました。
小西棟梁(現会長)> このお家は2回増築しているんですが、それによって家のバランスが悪くなっていて、時間が経つほどあちこちと悪いところが出てくる。
それをその都度なおしていると、10年20年経った時に振り返ってみるとかなりのコストがかかってくるもんです。
奥様> 枚方市の宇山町で完成間近の現場があるとのことで、その日のうちに見学に連れていってもらったんですが、そもそも日伸建設さんがどんな家づくりをしているのかなんて知りませんでしたので、行ってみて正直ビックリしました。
第一印象は、『高いんだろうなぁ・・・』でした。でも同時に、こんな素敵な家に住めたらいいだろうなぁとも思いましたが、その時はまだ実感がなくて、全くの人ごとでした。
ご主人> その時はリフォームしたらいくらかかるのか、ちょっと知りたかっただけで、新築するなんて全く考えてなかったですし、ましてや60歳を目の前に、今更家を建てるなんて、夢にも思っていませんでした。
その日は、とりあえず見学だけさせてもらって検討することにしたんですが、その後、決断するまでの半年ほどの間に、パソコンで家の間取りをつくって3D映像で見ることが出来るソフトなんかを買ってきて間取りを作ってみたりしていました。
奥様> そんなことをしているうちに、主人がその気になってきまして。。。
主人はもともと鹿児島の生まれで、単身赴任もしていましたから、そうでもないと思いますが、私は30年も住んできた交野市に愛着があり、お友達もいるので離れがたい気持ちがありました。