大工のブログ

階段の架替え

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今回のお家は少し急な階段です。 踏面が18cm,蹴上が22.5cm 。 降りるときは体を少し横に向けないと踏み外しそうです。

にもかかわらず違法では無く建築基準法の範囲内。

・・・おかしい。

基準法の寸法はというと 確か 踏面15cm以上、蹴上23cm以内。

・・・おかしい。転げ落ちますね

元の階段

6段廻りで上部は91cmの5段割り・・・つまり踏面18.2cm

スペースが無いのなら兎も角 上の写真でお解りの通り下側の部分にまだ3段程 取付け出来るスペースが在るにも拘わらず 何故こうゆう割り付けにしようと思ったのか理解に苦しみます。

という事で架替えをご提案。

上下4段ずつのストレートと中5段廻り。寸法的には 踏面22.7cm         蹴上20.9cm の14段上がり切り。

僕的には15段上がり切りで蹴上げを18〜19cm台が理想的に思います。そうすると工事中の重い荷物の上げ下ろしが、もの凄く楽になります。つまりは日常生活で洗いたての洗濯物等の上げ下ろしが楽になるという事なんです!

只、今回は頭上の梁が邪魔をして残念ですが14段が限界でした。

ということで桧の加工します。

6mの原板から採って行きます。こんなに変色した木は天然乾燥の証です。

これだけ変色した木でも加工をすると

↓こんなにも綺麗な色が出てきます。

↑こっちが廻り階段用      ↑こっちが直階段用

厚みをそろえ終わったら 予め描いておいた廻り階段の

原寸図(↓)に木の表情を見ながら場所決めをする

そして、先程作った踏み板に溝を掘り実(さね)を入れ〝はぎ合わせ〟  という加工を施す

↑板の真ん中の溝に入っている棒が実(さね)です

↑はぎあわせて

↓形を整えると、こうなります

ハギ合わせは20~30cmの板が2~3枚です

↓それを削って こうなります。工場生産の既製品との違いは一目瞭然!

ここまでが材料を作り出す行程です。  

 

そうやって作った材料を取付けていきます。

出来上がり。現場では天然乾燥の桧の香りがプンプンしてます!

 

一軒の家の 一つの場所の 一つの仕事に ここまで考えて形にするのが僕たちのような手仕事をする大工の仕事です。

そんな僕たちが何を考え行動しているのか、ほんの少しでも多くの人に理解して頂けることを願って。

 

 

 

 

 

 

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